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相談事例集
 

相談事例28: 軽貨物運送


 1年前、折り込み広告のチラシで高収入が得られるというので、軽貨物配送代理店の契約をした。1日1万円は収入を保証すると言われ、受託金3万円を払い、高額な中古の軽トラックの契約もした(283万円)。
 ところがトラック納車までほとんど仕事はなく、トラックもリコール車だった。車はクーリング・オフもできないと書いてあるが、解約したい。

(40歳代 男性)


 事業の営業形態が特定商取引法で規制されている「業務提供誘引販売業」の定義に該当すると判断し、法定書面(概要書面及び契約書面)が相談者に交付されているか確認したところ交付されていなかったため、クーリング・オフを助言しました。業者も法定書面を交付していなかったことを認め、クーリング・オフを受け入れました。


 「業務提供誘引販売業」とは、『商品の販売事業(有償の役務提供事業)であって、「業務提供利益」を収受し得ることをもって顧客を誘引し、「特定負担」を伴う商品の販売 (役務の提供)にかかる取引を行うもの』と定義されています。俗称では内職・モニター商法ともいいます。
 ここで、「業務提供利益」とは「顧客を勧誘する際の誘引の要素となる利益のことをいいます。具体的には、提供又はあっせんされる業務に従事することにより得られる収入のことです。また、「特定負担」とは「物品の購入若しくは役務の対価の支払い又は取引料の提供を行うこと」をいい、取引に伴って顧客が負うあらゆる金銭的な負担が該当します。今回の相談でいえば、1日1万円の収入の保証が「業務提供利益」であり、軽貨物トラック代金283万円や受託金3万円が「特定負担」に当たります。
 今回の相談事例を上記定義にあてはめて再整理してみますと、 1) 軽貨物トラックの販売業であって、 2) 「軽貨物トラック」を買ってもらえば、その軽貨物トラックを利用した仕事を提供しますから儲かりますよ」、といって相談者を誘い、 3) 相談者と軽貨物トラックの売買及び業務委託の取引を行うもの、となります。大切なのは、「業務提供誘引取引」における消費者が従事する業務は、事業所によらない小規模のものに限られていますので注意が必要です。
 内職・モニター商法はトラブルが頻発したことから規制が厳しく、法定書面は概要書面と契約書面の二種類、クーリング・オフ期間は契約書面を受領した日から起算(初日算入)して20日間です。契約書面は、商品の販売(役務の提供)と業務の委託という二つの内容から構成され、その全体にクーリング・オフの20 日間は適用されます。
 よくあるクーリング・オフに関する脱法的な騙しの手口に、商品の販売契約については8日といい、業務委託契約については20日と期日を使い分ける業者がいますからご注意ください。

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