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相談事例集
 

相談事例29: いわゆるエステ


 レーザー脱毛をしていたが、店からこの脱毛方法は危険であるから、脱毛方法を変更すると言われた。危険な方法だと分かっていたらこの契約はしなかった。途中、脱毛した後に肌が赤く腫れ、炎症を起こしたため、店に苦情を訴えたが、冷やし続けるよう指示されただけだった。その後、体質改善のための健康食品とアフタ−ケア用エステを勧められ契約した。どちらの契約も解約したい(契約金総額89万2千円)。


 レーザー脱毛を店で行うことについては何の問題もないとの説明がなされているため、医師法17条(非医師の医業禁止)及びこの規定に基づいて出されている平成13年11月8日付け医政発第105号「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」と題する厚生労働省医政局医事課長通知並びに特定商取引法44条1項(禁止行為)の規定に抵触しているのではないかと推定し、消費者契約法4条1項1号の「不実告知」を根拠に契約取消しの通知をするようアドバイスしました。事業者が相談者の主張を受け入れ、無条件解約に応じて円滑に原状回復が行われました。


 この相談は、いわゆるエステティックサロンー俗称エステー契約(特定継続的役務提供契約)のトラブルに関するものです。
 特定商取引法(以下「法」と略します。)で規制されている「特定継続的役務提供」という名称の「特定商取引」について検討する場合、次のような段階を追って検討していくと分かりやすいようです。

1. その契約は「特定継続的役務提供契約」に当たるか
 そのためには、 1) 提供されるサ−ビスが現在指定されている四つの特定継続的役務(いわゆるエステティックサロン、いわゆる語学教室、いわゆる家庭教師、いわゆる学習塾)の定義のどれかに該当するか(政令12条)、 2) 提供されるサ−ビスが特定継続的役務であるとして、特定継続的役務提供契約としての要件(期間と金額)を備えているか(政令11条)、を検討します。
 そして、これらの要件をすべて満たしていれば、このサ−ビス提供契約は、特定継続的役務契約(法41条1項1号括弧内)ということになり、「特定継続的役務提供」に関する規定を適用できることになります(法41条1項1号)。
 ところで、政令11条には、特定継続的役務提供の期間及び金額の要件が規定されているのですが、厳しい規制を嫌がる事業者はこの要件を免れるための脱法工作を講じる場合がありますので、注意が必要です。

2. 法定書面は交付されているか
 特定継続的役務提供であれば、事業者は、「概要書面」及び「契約書面」という二種類の法定書面を消費者に交付する必要があります(法42条)。
 両書面が交付されている場合でも、契約書面については「関連商品」の欄の記載に注意する必要があります。関連商品はクーリング・オフと関係してきますので、脱法工作がなされやすい部分だからです。

 今回の相談の場合、前記1、2についての形式的な違反はなかったので、消費者契約法で定める「不実の告知」による取消しをアドバイスしています。
 なお、また、平成16年1月1日から現在指定されている四つの特定継続的役務に加えて「パソコン教室」と「結婚相手紹介サービス」の2役務が規制対象に追加されることになりました。

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