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相談事例集 |
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■相談事例31: 訪問販売
一ヶ月前、突然、販売員が浄水器の説明に来た。びっくりしてドアを押さえ、「要りません。お断りします」とはっきり断ったが、業者は強引にドアを開けて入ってきた。業者が話すところによると、この浄水器を買った私の友人が私に勧めてくれと言ったということだった。そのように言われると無下に断れなくなり、話を聞くことにした。 説明によれば、「今の水道水は信用できない。水道管にはゴキブリや鼠の死骸が紛れ込んでいる」ということだった。そして、この浄水器を使うときれいになり、身体にもいいと言う。この話しを聞いてすっかり気持ちが悪くなり、勧められるまま、浄水器(30万円)を購入した。しかし、後で考えてみると説明は嘘としか思えない。また、友人は、私に勧めてくれとは言っていないことが分かった。解約したい。
(70歳代 女性) |
センターで書面を確認したところ、特定商取引法上交付を義務付けられている法定書面の「商品名」や「支払い金総額」など重要事項の記載が明確でなく、また、消費者契約法上の「不実の告知による誤認」あるいは「業者の不退去による困惑」などの取消事由に当たると判断し、契約の解除・取消しを書面で申し出るように助言しました。業者は解除・取消し要件を満たしていないと反論しましたが、最終的に契約の解消に応じました。 |
このケースは、特定商取引法で規制されている六つの特定商取引の中の「訪問販売」に当たります。 一般にセンターで相談を受けるときは、原則として、「業法」―「消費者契約法」―「民法」というつながりを考慮しながら、内容を聞き取ります。ここで「業法」というのは、国家が対象とする特定の事業の健全な発展のために介入する権限を定めた法律の仲間のことを指し、特定商取引法、貸金業法、保険業法などがあります。 この相談の場合、業法としての特定商取引法の適用をまず検討したのですが、期間が徒過(法定書面を受領したその日から起算して8日を超えている)していたため、無条件のクーリング・オフの行使は主張できませんでした。しかし、相談者は、営業担当者のセールストークの中の「水道水に関する不実の告知」を事実と誤認して契約していること(動機の錯誤)、また、相談者が「要らない」と断っているにもかかわらず、営業担当者が引きあげなかったことによる「営業担当者の不退去による相談者の困惑」があることを合わせて主張したところ、事業者もこれらの事実を認め、本件契約の解消を受け入れました。 |
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