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相談事例集 |
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■相談事例32: 電話勧誘販売
先月、職場に、「あなたの上司に当たる方からあなたを推薦してもらいました」との電話があり、ACPI資格(パソコン関係)取得用教材の購入を勧められた。「資格は誰でも簡単に取得できます。資格を取得されると50万円が給付される制度もあります」と説明され、契約した(契約金額123万円)。家族に相談したところ、1級資格はかなり難しいことが分かった。上司にも確認したが、心当たりのある上司はいなかった。高額な契約なので解約したい。
(20歳代 男性) |
センターで書面を確認したところ、特定商取引法上のクーリング・オフできる8日間を過ぎていましたが、交付を義務付けられている法定書面の「商品名」の記載が明確でなく、また、消費者に消費者契約法上の「不実のことを告げられたこと(不実告知)による誤認」があること、さらに「業者のあいまいな説明のために消費者に勘違いが生じている」と判断し、契約の解除・取消しを書面で申し出るよう助言しました。 業者は解除・取消要件を満たしていないと反論しましたが、最終的に契約の解消に応じました。 |
このケースは、特定商取引法で規制されている6タイプの特定商取引の中の3番目に登場する「電話勧誘販売」に当たります。 電話勧誘販売というのは、営業員が電話により高度の話術のテクニックを駆使し、消費者を勧誘して契約締結に導くものですが、資格取得関係に多いのが特徴的です。 消費者としては、その勧誘電話を受けるまではその資格に強い関心を抱いていたわけではありませんから、契約した後、後悔される方が多いようです。 電話勧誘販売で用いられることの多い勧誘テクニックは、 1)消費者の社会人としての良識に訴える、 2)資格社会に乗り遅れないようにと言葉巧みに消費者の上昇志向を煽る。 3)これらの組み合わせ、に大別できます。 消費者は社会人である以上、意識すると否とにかかわらず「信義誠実の原則」や「禁反言」を遵守する社会環境の中に生活しています。「信義誠実の原則」とは「信義則」ともいい、相手方の信頼を裏切ることのないように行動すべきであるという原則のことです。また、「禁反言」とは、アメリカやイギリスなどで取引の安全のために重視されている原則のことです。日本流にいえば、「武士に二言はない」という表現が近いようです。文字で表現すると堅苦しくなりますが、社会人になれば誰もが自然と身につく常識です。 この相談の場合は、「上司の推薦」を強調していますが、まさしくこれが「信義則」に訴える場面に当たります。また、「資格は誰でも簡単に取れる」が上昇志向に、「50万円が給付される」というのは、消費者の費用負担の不安を取り除く働きをしています。 「禁反言」が登場しませんでしたが、卑近な例としては、消費者が断る場合に「お断りします」というべきところを、「結構です」と言ったばかりに営業員に「結構ですというのはYESということですね。ありがとうございます」と食い付かれるような場合です。 ことのなりゆきにびっくりした消費者が慌てて否定しても、「結構ですといったじゃねえか。契約は口頭で成立するんだぜ。人をナメルのもいい加減にしろよ」と豹変した営業員に一喝され、恐れおののきながらやむなく契約させられてしまう場合です。 最近、昔の受講契約などを口実にして契約の継続を迫られたり、終了手続きが必要だと嘘の説明をされ不必要なお金を請求されるケースが増えています。また、コンピューターリストから削除するのに金がいる、あなたが契約している会社からあなたの債権を譲渡された、勧誘電話がこないように弁護士に頼んでやるなどという二次被害、三次被害につながる相談が増えています。注意してください。 |
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