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相談事例集
 

相談事例34: 電話勧誘販売(二次被害)


 1年半ほど前知らない男性から電話があり、「パソコンによるインターネットを活用した通信教育で行政書士資格に挑戦しませんか。資格が取れたら当社が1回につき2万円程度の仕事を紹介しますので収入が得られます」と説明され、教材を勧められた。高額(52万円)なので断ったが、「元はすぐとれます。申込期限が迫っています」とせかされ、つい契約してしまった。その後、解約を申し出たが、クーリング・オフ期間が過ぎていると断られ、仕方なくクレジットの支払いを続けていた。
 半年後、以前とは違う男性の声で電話があり、「行政書士の勉強は進んでいますか。勉強が大変のようですから他のシステムに切り換えませんか。このシステムだと合格できなくても毎年お金がかかることもなく、こちらから電話をかけることもなくなります。ただし、システムを切り換えるのに28万円かかります」とのことだった。
 「分割払いでよければ切り換えて欲しい」と言ったところ、契約書も交わさないうちに知事承認の消費者金融会社から30万円が私の口座に一方的に振り込まれており、その後、男性の声で「当社に28万円、保証会社に2万円振り込んで欲しい」との電話があった。指示どおりに振り込んだが何がどうなっているのか分からず不安なので解約したい。

(20歳代 男性)


 最初の行政書士資格講座受講契約については、特定商取引法で規定する「業務提供誘引販売取引」に該当するにもかかわらず、所定の法定書面が交付されていないのでこのことを主張するよう助言したところ、事業者もこれを認め、無条件解約に応じました(既払金は全額返金)。
 二番目の契約については、同じく特定商取引法で規定する「電話勧誘販売」に当たると判断し、所定の法定書面が交付されていないので契約の解除・取消しを主張するよう助言したところ、事業者もこれを認め、まだ1回も支払っていないにもかかわらず、消費者金融会社からは完済証明書が送付されてきました。


 最近このようなタイプの消費者被害の相談が増えています。つまり、最初の契約に理由づけて新たな契約を勧めるというものです。
 消費者サイドからいえば、最初の契約が一次被害、新たな契約が二次被害ということになります。この後に、「もうこれ以上あなたに勧誘電話がこないようにコンピューターリストから削除してあげます」、「これ以上勧誘電話がこないように弁護士に法的手続きをとってもらいます」というような第三次被害ともいえる勧誘の手口が続きます。
 特に最近顕著なのは、消費者がほとんど忘れてしまっているような10年以上前の契約を引っ張り出してきて、「まだ契約が残っているので会費を払って欲しい」、「当社にはあなたが資格を取得するまで契約を維持する義務がある」などと変な口実を持ち出して再契約を迫るものが増えてきていることです。
 また、信販会社に代わって消費者金融会社が契約に登場してきて、代金を貸し付けることが多くなりました。にもかかわらず、消費者には消費者金融から借金しているという意識があまりなく、支払総額も把握していないということもあります。消費者金融は適用金利が29.2%と出資法の上限金利ぎりぎりの場合が多いことや、本来のクレジット契約であれば信販会社への支払い義務を免れる場合でも信販会社が消費者金融会社に入れ替わっただけで、消費者は割賦販売法が適用されることに気づき難いことから消費者金融への返済を続け、多重債務に陥る一因になりかねません。
 自分では消費者金融を利用することを自制しているつもりでも、今回の相談のようにクレジット契約という形で消費者金融に引きずり込まれることがあります。「自分が借りたお金にはどのような法律がかかわってくることになるのか」ということに留意する必要に迫られる時代になりました。契約にはくれぐれも注意してください。

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