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相談事例集 |
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■相談事例35: 特定継続的役務提供(エステ)
2週間前、友人についてエステ店に出向き、友人を待っている間に肌のチェックを受けた。店員から「将来シミになる」と言われてびっくりしているところに、「8ヶ月間はエステの無料サービスをします」との説明を受け、化粧品などの購入契約をした。しかし、よく考えると高額(41万円)で、支払いが困難なので解約を申し出たが、再説得され解約してもらえなかった。支払いが厳しいので解約したい。
(20歳代 女性) |
この取引は、無料エステサービスと有料化粧品の「抱き合わせ販売」による「特定継続的役務提供」に当たると判断し、特定商取引法違反(「特定継続的役務提供」に当たるにもかかわらず、訪問販売による物品販売のような内容の法定書面が交付されている)に基づく契約の解除、また、将来シミになる等と説得されて契約していますので、消費者契約法の「不実の告知」に基づく契約の取消しを主張するようにアドバイスしたところ、事業者も無条件解約を受け入れました。 |
「抱き合わせ販売」の特徴は、本来有料であるべきサービスを無料と謳い、消費者に”得した”という満足感を与えながら、一方でそのサービスに関連して使用する商品(これを「関連商品」といいます)を割高な価格で売りつけるところにあります。 このような抱き合わせ販売その他サービス取引がらみの消費者トラブルがかつて頻発したため、平成11年に特定商取引法(当時は「訪問販売法」と呼ばれていました)に「特定継続的役務提供」という1章が設けられ、一定のサービス取引が規制されることになりました。規制の対象とされたのは、”エステティックサロン””語学教室””家庭教師””学習塾”といわれる4種類のサービス取引です(この四つは政令で指定され、「特定継続的役務」と呼ばれています。平成 16年1月から前記四つのサービス取引に加えて、新たに「パソコン教室」及び「結婚相手紹介サービス」が政令で追加されました。したがって、「特定継続的役務」は六つになります)。 「特定継続的役務提供」というのは、事業者がこの特定継続的役務を、それぞれの特定継続的役務ごとに、一定期間を超える期間にわたり、一定金額を超える対価を受け取り提供するもの、のことです。まわりくどい表現をしましたが、要するに、エステティックサロンであれば(1ヶ月、5万円)を、残りの三つの場合であれば、これが(2ヶ月、5万円)を超えていれば「特定継続的役務提供」にあたることになります。 本件相談は”エステティックサロン”に関するものですが、この場合の「特定継続的役務提供」の定義は、 1) 「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うもの」であって、 2) 「期間が一月を超え」、 3) 「金額が五万円を超えるもの」ですが、本件相談はこの定義に合致しますから、この法律の規制の対象となります。 前記4種のサービス取引はすべてそのサービスそのものが目的で契約するものばかりですが、「抱き合わせ販売」ではサービスは「無料」と強調されますから、取引の外観上はこのような取引は「特定継続的役務提供」というサービス取引ではなく、関連商品の「販売」と勘違いしやすいものです。しかし「サービス料金と関連商品の価格を合算したものが5万円を超えていればこの法律が適用されます。 「特定継続的役務提供」のクーリング・オフ期間は8日ですが、「特定継続的役務提供」の場合、販売方法や契約場所に関係なくサービス取引及び関連商品の売買契約の双方をクーリング・オフできます。また、いつでも理由を問わず中途解約できる制度がありますから、より手厚い救済を受けることができます。 あなたの契約内容がどうなっているか、もう一度、見直してみてください。 なお、中途解約料については別途、規定があります。 |
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