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相談事例集
 

相談事例36: 身に覚えのない請求


 6月12日、突然、次のような内容を印刷した葉書が送付されてきた。このような請求を受ける原因について、何も思い当たることがない。どのように対応したらよいか。
『電子消費者契約通信未納
利用料請求最終通達書
お客様コードYS・・・・・01

 このたびご通知致しましたのは、貴殿のご利用された「電子通信料金未納分」について、ご利用通信会社から委託を受けましたので大至急当社まで御支払い下さい。こちら「電子消費者契約民法特例法」上、法務省認可通達書となっておりますので、連絡無きお客様につきましてはやむを得ず裁判所からの書類通達後、指定の裁判所へ出廷となります。また裁判後の措置と致しまして給与差押さえ及び、動産物差押さえを強制執行させて頂きますゆえ当社と執行官による「執行証書の交付」を承諾して頂くようお願いすると同時に、最寄の債権回収業者へ債権譲渡を致しますので後日債権譲渡証明書を一通郵送させて頂きますので承諾の上ご返送ください。尚、書面でのご連絡となりますので、請求金額、御支払い方法等は、当社が委託を承った事により当初の設定と相違がありますので、至急連絡をお願い致します。以上を持ちまして最終通告とさせて頂きます。
最終受付期限 平成16年6月16日
ご連絡先  03ー12※4ー5※78
      03ー9※86ー34※6
営業時間  9:00〜18:00
休  日  土・日・祝日
〒105ー0011 東京都港区○○町35
法務省認可特殊法人 AB債権管理事務局』


 この文章の結論は、「とにかく至急連絡を」ということのようです。このようなときに一番大切なことは、「脅しにのらない」、「慌てない」ことです。このような身に覚えのない書面が送付されてきたときは、連絡してはいけません。まず住んでおられる市町村の消費者相談窓口、あるいは近くの消費生活センターへ問い合わせるようにしてください。仮に、身に覚えがあっても連絡しないで相談するようにしてください。


 この文面には、私たちの日常生活になじみのない専門用語らしきものが羅列され、大変恐ろしい印象を受けます。しかし、全体を丁寧に読んでいくと、まったく脈絡のないことが書かれていることに気付きます。
 一般的に、このような書面の内容は、 1)債権回収会社を名乗る、 2)法的措置をとる、 3)自宅、会社などへ直接回収にいく、という構成になっているものがほとんどです。
 次のようなことを守り、かつ念頭において対処する必要があります。

1. 無視する。連絡したら、あなたのプライバシー情報が筒抜けになります。


2. ときに、真正の債権回収会社(サービサーといいます)から来ることがありますが、ビデオレンタル料や有料情報料の回収は対象とされていません。

 「サービサー」とは、「資本金5億円以上の株式会社」、「取締役に1名以上の弁護士」、「法務大臣が許可」などの要件を備え、「法律で定められた特定の債権の回収を行うもの」のことです。
 真正の法人であるか否か分かりづらいですから、関係機関に確認するのが賢明です。
 なお、本物の督促であっても、支払義務があるか否か確かめる必要があります。
 最近、完済済み、あるいは消滅時効にかかっていることが明らかなものについて、古証文を根拠に請求してくるケースが増えています。注意が必要です。

3. 「自宅、会社などへ直接回収にいく」(「自力救済」といいます。法治国家では原則として認められていません)という文言が不安でしたら、近所の交番または役場へ届けてください。

 ところで、裁判所は、法律に照らして何が公正な結論であるかを示してくれる国家機関です。今回の相談についても、「裁判所から文書が来るまで待とう。そして、その判断を仰ごう」というくらいの余裕をもって対応することです。解決を急いで連絡したり、お金を払うのは禁物です。

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