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相談事例集 |
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■相談事例52: ミシンの売買をめぐるトラブル
◆相談事例 先月、ミシンが故障したので、購入した店に修理を頼んだ。出向いてきた店員は「修理をすれば、6万程度かかるし、部品の注文にも時間がかかる。修理しても、使い方が難しくお年寄りには向かない。他の商品を持ってきているのでそれに替えた方がいい」と言われ、23万円の商品を勧められた。高いので再三断ったが、結局、手持ちの古いミシンは店側が下取りするという条件でクレジット契約を結んでしまった。 2週間後、ミシンの使い方を尋ねたところ、やってきた別の店員は新しいミシンを見て、「これは使い方が難しく、お年寄りには向かない」と言い、「こちらの方が手入れも要らないし、簡単に使用できる」と自分がもってきたミシンを勧めた。「今のミシンと交換してもらえないか」と言ったら、「一度使ったものとは交換できない。10万円で引き取るのでこのミシンを28万円で買って欲しい」とのことで、最初に購入したミシンを引き取っていった。 しかし、その後「支払が厳しいので、28万円のミシンを引き取って欲しい」と店に相談したところ、最初に売り込んだミシンと交換する案を提示された。しかし、「ミシンはもう要らない、二つとも引き取って欲しい」と申し出たところ、「一つ返品できたのだからそれで勘弁してくださいよ」と断られた。 ミシンの使い方もよく分からず、使う機会もあまりないので、すべて解約し返品したい。
(70歳代 女性) |
ミシンの修理を依頼したことを契機に購入を勧められて契約したので、新たなミシンの購入契約には、特定商取引法の「訪問販売」の規定の適用があると考え、相談者が業者から交付された法定書面を調べたところ、商品が頻繁に交換されているため契約の内容が正確に法定書面に反映されておらず(特定商取引法5 条)、また、再三断ったにもかかわらず退去してもらえなかったため相談者が困惑して契約していること(消費者契約法4条3項1号)等を根拠に契約の解消を求めるように助言しました。 業者は相談者の主張については反論しましたが、支払いの終わっていないミシンを下取りして持ち去ったことなど信販会社からも業者に対して加盟店指導が行われた結果、業者2機とも契約の解消に応じました。 |
最近、ミシンの利用者が減っているのか、かつての利用者からこの相談のようなスタイルのトラブルに巻き込まれて相談されるケースが増えています。 多いのは、使い慣れたミシンが故障したため購入先に修理を頼んだときに、「修理代が高くつく」、「すでに部品の在庫がない」、「このタイプはお年寄りには操作が難しい」などと言われ、高額な新機種への買い換えを勧められるケースです。 他に、消費者がミシンの買い換えを考えているときに、たまたまチラシなどで安いミシンが販売されていることを知り業者に連絡を取ると、業者が訪ねてきて「チラシの商品はもう売り切れて在庫がない」、「チラシの商品は安いだけに故障が多く、結局は高いものにつくのであまりお勧めできない。むしろこちらの商品をお勧めする」と言われ、高い商品を購入せざるを得なくなるといったおとり広告とも思われるようなケースがあります。 ミシンという商品は、かつては重要な嫁入道具の一つであり、一家に1台は必ずある必需品でした。しかし、その後、安い衣料品が豊富に輸入されるようになり衣類の手作りは減り、それと歩調を合わせるようにミシンの需要も落ち込んでいったようです。そもそもミシンは専門店で販売され使い方や修理などアフターサービスも販売業者が提供していましたが、今回の相談からも窺われるように、ミシンは訪問販売という形で販売される場合、定価があってないような値付けがされることがありますし、時に保証書、説明書、備品、商品箱等を伴わず、下取り商品とおぼしきものが販売されて問題となることもあります。 また、クレジット契約の場合、支払い方法が常識的な「均等分割払い方式」ではなく、ユニークな「リボルビング方式」が契約者の理解を得ることなく支払方法として組み込まれることがありますので、ご注意ください。 |
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