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相談事例集 |
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■相談事例67: 多重多額債務
30歳になる息子が、4、5年前からギャンブルが原因でサラ金を利用している。借金額が200万円に膨れあがったところで親が一括返済してやった。しかし、ローンカードを持たせておくとまた使うのではないかと心配だ。どうしたらいいか。
(60歳代 男性) |
ローンカードは、本人が解約の手続きをとる必要があること、また、多重多額債務の問題は、最終的には本人の自覚がないと根本的な解決は難しいことを伝えました。 |
多重多額債務者(多重債務者)とは、複合した債務を負い、支払い遅滞や支払い困難に陥ってしまった人のことをいいます。 最近、多重債務者が急増し社会問題となっています。その原因としては、従来からクレジットカードによる消費者信用供与額の増大(その内容は立替払という間接的な後払い方式による「販売信用」とキャッシングという直接融資方式による「貸付信用」とがあります)や、金融機関の消費者信用分野への急速な進出(貸付信用)が上げられています。 消費者信用制度の特徴は、「原則無担保」というところにありますが、販売信用、貸付信用と表現が異なるにせよ、最終的にはともに借金であることに違いはありません。両者の関係は、ちょうどU字管(一本のガラス管をU字型に曲げた実験用ガラス器具)の両端から流れ込む試薬に似ています。立替金、借入金と名前は違っていても最終的には返済しなければならない同じ借金なのです。 日本には、現在、消費者信用制度について統一的に規制する法典が存在しません。販売信用に関しては割賦販売法で、貸付信用については貸金業規制法でといった具合です。 その貸付信用分野の規制法である貸金業規制法の改正法が、平成18年12月13日に成立し、3年以内に金利の上限が15%〜20%に引き下げられることになりましたので、問題の多かったグレーゾーン(灰色)金利も消滅することになります。 多重債務に陥る原因は人によってさまざまですが、このグレーゾーンの存在に泣かされた多重債務者は多いことと思います。それを推定させてくれる数字として平成18年7月28日付けの朝日新聞の記事から関係部分を抜粋し再掲載しておきます。『 1)消費者金融の利用者は1600万人近くにのぼり、その6人に1人、約267万人が3ヶ月以上、返済が滞っている(貸金業界の信用情報機関「全国信用情報センター連合会(全情連)」調査。以下同じ)、 2)4社以上から借りている多重債務者は約356万人、平均残高は約200万円で、3割以上が滞っている、 3)全情連の加盟業者は大手が多く全従業者数の2割以下なので、業界全体の利用者数や借入残高はさらに多いとみられる。』 誰しも多重債務者になりたくてなるわけではありません。したがって、日頃の心構え次第でその確率を低くすることは可能ですので、以下に多重債務に陥る確率を少しでも減らすための注意事項を記載しておきます。参考にしてください。
1. 将来の収入の見通しは慎重に考える。右肩上がりの保証はない。
2. 返済できる計画が立たないお金は借りない(元利の返済額が可処分所得の20%を超えると無理が生じやすいといわれている)。
3. 限度額までだからと安易にキャッシングしない。
4. クレジットカードや消費者金融を利用するときは、金利計算を必ずやってみる。
5. クレジットカードなどの枚数は、自分で管理できる範囲に止め、多くなりすぎないように注意し、友人に貸さないなど自己管理を徹底する。
6. 友人・知人に頼まれても、その責任の範囲を確かめず安易に連帯保証人を引受けない。
7. 返済のための借入れをしないのが鉄則。その分借金が増え返済額も増加する。
8. 返済できなくなったら早めに家族や周囲の人などに相談する。
9. 借金返済のための借金に頼らざるをえなくなったり、度重なる取立で困ったら、すぐに弁護士会などの相談窓口で相談する。
(以上、1〜9までは、「”マネー情報・知るぽると”」金融広報中央委員会発行のパンフレットから引用しました) |
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